Poème En Prose013

「遠くに行ってみたいね。もっと綺麗なものがありそうじゃん」
「…。馬鹿ねえ」
彼女は顔に掛かった髪の毛を手で払うと窓を開けた。
そして、狭いベランダに出て、空を見上げる。
「今日は良さそう」
ぽつりとつぶやくと部屋の中にいる彼の方へ体を向ける。
「夕暮れ、金色に輝く獅子のたてがみを思わせる雲」
彼女の黒い髪の毛は光に輝いていた。
「風に吹かれて今にも空高く飛び立とうとする綿帽子。闇を越えて力強く産声を上げる東雲、紫の空。あなたは見た?」
「どこで?」
「ここ一週間、生活している中で。朝方ぐっすり寝てるあなたには最後のは無理か」
「…参った」
「ボン。夕方、散歩に行こう。河川敷を歩きたい」

2010.06.18 |  Poème En Prose | Text |  緋衣那 充希

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