実験室001

「あなたの名前は?」
「私の名前はXXXXX」
「私の顔が見えますか」
「はい」
「昨日あなたは何をしましたか?」
「昨日…」
「そうです。昨日何をしたか覚えていますか?」
「…」
「昨日は分かりますか?」
「はい」
「何をしたか、覚えていますか?」
「…」
「怖がらなくていいですよ」
「…」
「あなたの手を見てください」
「…。いや…」
「どうしてですか?」
「…私の手…赤いから…」
「どうしてですか?」
「…」
「その赤はなんですか?」
「…血…です…」
「あなたの血ですか?」
「…違い…ます」
「それでは、誰の血ですか…」
「それは…」
「それは?」
「私の…大切な人のものです…」
「そうですか」
「私は…あの人を殺しました」
「そうですか」

「それでは、あなたは誰ですか?」
「…」
「あなたの名前はXXXXXさんですね?」
「はい…」
「もう一度聞きます。あなたは誰ですか?」
「…私は…誰ですか?」
「あなたの言う大切な人とは誰ですか?」
「大切な人…。名前は知らない」
「どうして?」
「わからない」
「いつからの知り合いですか?」
「記憶があるときから、ずっと」

「あなたの腕を見てください」
「…」
「たくさんの傷がありますね?」
「…はい…」
「それは、いつ出来たものですか?」
「…昨日…」
「そのように見受けられますね。では、どうして出来たか心当たりはありますか?」
「…わかりません」

「あなたの手の血は本当に大切な人のものですか?」
「…」
「それは、あなたの血ではないのですか?」
「…そうかもしれません」
「あなたは誰ですか?」
「私は誰ですか?」

2008.05.24 |  Line | Text |  緋衣那 充希

タナトスの子002

「終わってしまう」
「うん。終わってしまうね」
「何か手にする事は出来たのかな?」
「さぁ、どうだろう」
「また、笑えるかな?」
「きっと、笑えるようになるよ」
「涙も出ない」
「今は涸れてしまっているだけ」
「この荒れ地、歩いていけるかな?」
「歩いていけるよ」
「ぼくたちがいる」
「あなたたちが、いる」

「怖い?」
「うん。とっても」
「ひとりじゃないよ」
「ひとり、じゃない」
「行こうか」
「…」
「あのひとが待ってるよ」
「…」
「ぼくの手を」

「行こう」

2008.04.26 |  Line | Text |  緋衣那 充希

タナトスの子001

「三月は好き?」
「いいえ、嫌い」
「どうして?」
「だって、別れの季節じゃない」
「別れの季節…、そうなんだ」
「そう」
「けど…、それがなかったら、あなたには会えなかったかも」
「そうかも知れない。きみには会えなかったかも」

「疲れた?」
「ええ、少し」
「大丈夫?」
「少し死にたい気分」

「今日はこれくらいにしようか」
「うん」
「おやすみ」
「おやすみなさい」

 |  Line | Text |  緋衣那 充希

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